理学療法士がトレーナーから学ぶべき課題

それは運動プログラム(リハビリプログラム)です.

例えば,筋力を高めるという課題はアスリートのパフォーマンス向上と高齢者のADL向上に共通しています.

アスリートも高齢者も同じ人であり,筋力が向上するメカニズムは同じなのです.

身体の心身機能のバランスを一定に保つ事をホメオスターシス(慣れ)といい,筋力を高めるためには,このホメオスターシスを打ち破る事が重要になってきます.

筋力は,同じ負荷や強度,セット数で永遠に続けていても効率良く向上しません.

筋肉にも,慣れ(ホメオスターシス)というものが存在し,負荷やセット数といったトレーニング因子を変えなければ,いくら重い重量を扱っていても効果が半減してしまうのです.

つまり,最大限に効率良く筋力を高めるためには,負荷やセット数などのトレーニング因子を変えなければいけないのです.

但し,闇雲に変えれば良いという訳ではありません.

今回は,どのようにトレーニングのプログラミングを行えばいいのかを書いていきたいと思います※トレーニングの期分けの事をペリオダイゼーションと言います.

伝統的なペリオダイゼーション

http://kawamorinaoki.jp/undulating-periodization/

一般的なペリオダイゼーションモデルとしては上図が主流になります※線形ペリオダイゼーションとも言います

特徴としては「4週間を1サイクルとし,セット数やレップ数を多く行うプログラムから(強度は低い)数を減らす(強度は高い)」プログラムになります.

1.1セットあたり10レップ前後の「筋肥大期(最近は筋持久力期と呼ぶことも)」
2.1セットあたり5レップ前後の「基礎筋力期」
3.1セットあたり3レップ前後の「最大筋力・パワー期」
4.1セットあたり1-3レップの「ピーキング期」

http://kawamorinaoki.jp/summated-microcycles/

メリットは

4週間を1サイクルとし,負荷やセット数といったトレーニング因子を変えていることから,ホメオスターシスを打ち破りやすい(一定の負荷に対して身体に慣れさせない)

デメリットは

筋肥大期で得られた筋肉量を維持しにくい(筋肥大期からピーキング期までの期間が長いから)

瞬発力(RFD=力の立ち上がり率)が低下しやすい

波状ペリオダイゼーション

http://kawamorinaoki.jp/undulating-periodization/

波状ペリオダイゼーションとは,前項の「伝統的なペリオダイゼーションの4週間1サイクルを2週間1サイクルに短縮したプログラム」になります※非線形ペリオダイゼーションとも言います

・量の多い時期(Accumulation期、表2で黄色で囲まれた部分)と強度の高い時期(Intensification期)を交互に入れている
・Accumulation期とIntensification期の入れ替わりが早い(各期が2週間しか続かない)
・Accumulation期とIntensification期を(波状に)交互に入れながら、全体的には徐々に強度を増やして量を減らす方向に進んでいる

http://kawamorinaoki.jp/undulating-periodization/

特徴としては「2週間を1サイクルとし,トレーニング因子を変えながら徐々に全体の強度が上昇している

メリットは

筋肥大期で得られた筋肉量を維持しやすい

身体に対しての物理的刺激と化学的刺激の入力が入りやすい(2週間を目処に低強度と高強度を交互に行うことで,ホメオスターシスを打ち破りやすくなるから=負荷に慣れさせない)※伝統的なペリオダイゼーションと比較して

デメリットは

トレーニング実施者のフォームが正しく行えている事が前提(熟練者向け)

Summated Microcycles

http://kawamorinaoki.jp/summated-microcycles/

Summated Microcyclesの特徴は「1週間を1サイクルとし,トレーニング因子を変えるプログラム」です.

「筋肥大期(筋持久力期)→基礎筋力期→最大筋力・パワー期→ピーキング期」という形で、各期を1週間毎に繰り返す形になります。

http://kawamorinaoki.jp/summated-microcycles/

メリットは

物理的刺激と化学的刺激の効果が入力されやすい(3つのプログラムの中で1番)

筋肥大,瞬発力(RFD)が維持されやすい

デメリットは

筋肉痛が生じやすい(筋肥大期の刺激が強く入りすぎてしまうため)

実際のシーズンに組み込みにくい(筋肉痛や疲労が残りやすいから)※アスリートの場合

まとめ

今回は運動プログラムについての記事になりました.

各3つのプログラムの効果において大きな差はなく,選手や患者のニーズに合わせて対応していく事が大切だと思います.

今回は,各プログラムの紹介程度になりましたが,一番伝えたい事は運動プログラムに変化をつける事です.

冒頭でも書きましたが,アスリートの筋力向上と高齢者の筋力向上もメカニズムは同じであることから,医療従事者の方も知っておいて損はないと思います.

むしろ知るべきです.

ペリオダイゼーション通りに行えば絶対的に効果があるのかといえば,そうではないケースもあると思います※実際にはペリオダイゼーションには科学的根拠がないという論文も存在します

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22356774

エビデンスは医療の不確実さにできる限り挑戦しようとするもの(あくまでも確率論)であり,医療の不確実性が一掃される訳ではないからです.

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66820

だからといって,ずっと同じ負荷の運動ばかりをさせるのは良くありません.

理由は,漸進性過負荷の原則から筋肉本来に備わっているホメオスターシスを打ち破れないからです※漸進性過負荷の原則とは段階的に負荷を上げること

つまり,効率よく筋力が高まらないという事です.

今回の記事を通して,患者に対しての筋力向上プログラムに変化をつける方法もあるんだなと頭の片隅に入れて頂く事が本望です.

最後までお読みいただきありがとうございます.

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参考文献

https://athletebody.jp/2014/03/27/progressive-overload/

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