左変形性膝関節症を推論してみたVer3

整形外科徒手検査の推論

内反ストレステスト  +P
外反ストレステスト
マックマレーテスト    +*1
アプレー牽引テスト
アプレー圧迫テスト
膝蓋骨跳動

*1:内方への捻転にてクリック音あり

 上記の結果から,左下肢の内反ストレステストの検査時に痛みが見られた.

 この理由は,左OA(K-L分類グレードII)における脛骨大腿関節の狭小化と骨棘形成を呈する事で,内反ストレスを加えることにより,内側型関節内インピンジメントによる疼痛であると考える.

 次に,マックマレーテスト検査時に内方への捻転にてクリック音が見られた.

 この理由は,マックマレーテストにおける内方への捻転時に,脛骨大腿関節に対して内反ストレスが掛かる事から,内側型左膝OA(K-L分類グレードII)における脛骨大腿関節内側関節裂隙の狭小化と膝関節屈曲拘縮を呈することによる内側半月板損傷の可能性が考えられる(縦断裂,横断裂,変性断裂の分類に関してはMRIにて判断する).

 長田ら1)は「内反変形を伴う内側型膝OAでは,初期には内側関節裂隙後方のストレスが増大し,屈曲拘縮を伴うようになった進行期には半月板中節にまで拡がり,末期に近づくと前節にまで達する」と報告しており,本症例患者においても内側型膝OA,内反変形及び,屈曲拘縮を呈している事から内側半月板損傷による相関関係が強く見られると考える.

姿勢観察

端座位の推論

頭頸部 軽度屈曲位
肩甲帯 右:中間位 左:軽度下制
両肩関節 軽度伸展,外転位
両肘関節 軽度屈曲位
両手関節 軽度背屈位
骨盤帯 軽度後傾位
体幹 軽度屈曲位
股関節 両股:屈曲位,軽度内転位 左:わずかに外旋
膝関節 両膝:屈曲位 左:軽度内反
両足関節 底背屈中間位

 上記の結果から,左膝関節軽度内反,両股関節軽度内転位,骨盤帯軽度後傾位,両肩関節軽度伸展位,左肩甲帯軽度下制に着目した.

 左膝関節軽度内反位に関しては,内側型左膝OA(K-L分類グレードII)における脛骨大腿関節内側関節裂隙の狭小化と膝関節屈曲拘縮を呈する事による変形性膝関節症の病態から起因していると考える.

 両股関節軽度内転位に関しては,変形性膝関節症における脛骨大腿関節内側関節裂隙の狭小化を呈する事による内反変形を生じることから,両股関節が外転位になりやすい(上行性運動連鎖由来).

 その結果として,端座位時における代償動作として両股関節が内転位に見られたのではないかと考える(OA由来の上行性運動連鎖に対しての代償動作).

 骨盤帯軽度後傾位に関しては,変形性膝関節症の病態及び,腹直筋の低下が考えられる.

 変形性膝関節症における股関節外旋拘縮,骨盤軽度後傾位といった病態から起因された上行性運動連鎖が原因であると考える.

 腹直筋の低下では,本症例患者における体幹屈曲筋力が低下しているため,端座位時における坐骨結節から外的体幹伸展モーメントが生じることから,体幹屈曲,頭頸部軽度屈曲位といった代償動作が見られたと考える(骨盤帯軽度後傾位による頭部前方変位及び,体幹屈曲による上半身質量中心の前方移動).

 両肩関節軽度伸展位に関しては,端座位時における骨盤帯を正中位に保つために,手圧中心点から身体重心位置までの骨盤帯の前傾モーメントを生じさせるための代償動作が見られたのではないかと考える.

 左肩甲帯軽度下制に関しては,端座位時における体幹を患側に側方移動させる事による上半身質量中心の側方移動が関係している.

 これは,変形性膝関節症における脛骨大腿関節の内反変形を呈していることから,立位時における体幹を患側に傾ける事で,床反力作用線から膝関節までのモーメントアームの減少による外的膝関節内反モーメントを減少させる代償動作が見られる.

 その結果として,体幹を患側に傾ける事による左肩甲帯の軽度下制が生じたのではないかと考える(立位時の代償動作が端座位時にも見られた).

立位の推論

頭頸部 中間位
肩甲帯 右:中間位 左:軽度下制
両肩関節 屈伸中間位,内外転中間位
両肘関節 軽度屈曲位
両手関節 掌背屈中間位
骨盤帯 軽度前傾位,軽度左下制
体幹 軽度伸展位,腹部が前方に突出
両股関節 軽度屈曲位,内外転中間位
両膝関節 軽度屈曲位
両足関節 軽度背屈位,前方を向く

 上記の結果から,足関節軽度背屈位,両膝関節軽度屈曲位,両股関節軽度屈曲位,体幹軽度伸展位,骨盤帯軽度前傾位及び軽度左下制,左肩甲帯軽度下制に着目した.

 足関節軽度背屈位,両膝関節軽度屈曲位,両股関節軽度屈曲位に関しては,内側型左膝OA(K-L分類グレードII)における膝関節屈曲拘縮を呈する事により,下行性運動連鎖として下腿の前傾が生じる(足関節軽度背屈位).又,上行性運動連鎖としては,股関節の屈曲が生じる.

 つまり,上記3つの不良アライメント姿勢は,変形性膝関節症(膝関節屈曲拘縮)による病態からの起因であると考える(上行性運動連鎖及び下行性運動連鎖).

 体幹軽度伸展位,骨盤帯軽度前傾位に関しては,内側型左膝OA(K-L分類グレードII)における膝関節屈曲拘縮を呈する事により,骨盤の後傾位が生じる.

 その結果として,COPの後方移動による身体重心位置が後方に移動することから,代償動作としての体幹軽度伸展位及び,骨盤軽度前傾位が見られたのではないかと考える(体幹軽度伸展位及び骨盤軽度前傾位による身体重心位置の前方移動が生じる為).

 骨盤帯軽度左下制,左肩甲帯軽度下制に関しては,変形性膝関節症における脛骨大腿関節の内反変形を呈していることから,立位時における体幹を患側に傾ける事で,床反力作用線から膝関節までのモーメントアームの減少による外的膝関節内反モーメントを減少させる代償動作が見られる.

 その結果として,体幹を患側に傾ける事による骨盤帯軽度左下制及び,左肩甲帯の軽度下制が見られたのではないかと考える(立位時の代償動作が端座位時にも見られた).

 ※実際の患者様情報ではありません

合わせて読みたい

参考文献

1) 長田信人,腰野富久,斎藤知行「他」:内側型変形性膝関節症の立位X線Gradeと内側半月板変性のMRI像分類の関係,日関外誌,XVII,(2),139~144,1998

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