身体が硬いとは何なのか?
今回は関節可動域制限について書いていきたいと思います.
関節可動域制限の定義
関節可動域制限とは「他動関節可動域が参考可動域(日本整形外科学会,日本リハビリテーション学会)に満たないもの」を意味しており,主に拘縮と強直の2つに分類されます.
つまり,力を抜いた状態で他者に関節を動かしてもらった時に柔軟性があるのかどうなのかという事です.
拘縮とは
拘縮とは「皮膚や筋肉,筋膜,関節包,靭帯などの軟部組織の伸張変化による可動域制限」の事を意味しており,主に5つに分類されます(Hoffaの分類)※筋収縮がない状態
○皮膚性拘縮
・熱傷や創傷による瘢痕治癒後に発生する瘢痕拘縮※熱傷II度,III度に多く見られる
○結合組織性拘縮
・関節包,靭帯,腱などの結合組織の伸張変化
○筋性拘縮
・筋線維の短縮や萎縮※筋膜も関連する※臨床で良くみられる
○神経性拘縮
・神経伝達の異常(中枢神経疾患,末梢神経障害)※臨床で良くみられる
○関節性拘縮
・関節内靭帯や関節包の器質的変化によるもの※結合組織性拘縮と似ている

強直とは
強直とは「拘縮の延長線であり,他動関節可動域が完全に消失した状態」であり,主に2つに分類されます
○線維性強直
・長期間の不動による拘縮が生じて関節と関節同士が癒合している状態※滑膜を構成するコラーゲン線維の過剰増生によるもの
○骨性強直
・関節軟骨が破壊され,骨同士が結合している状態※関節リウマチに多い
制限因子をどのように評価するのか?
○骨性
・硬く,弾力のない最終域感,痛みはない.
・骨と骨との接触感のエンドフィールは,正常な肘関節伸展で認められる.
・これ以上の関節可動域の改善は望めない
○軟部組織接触性
・弾力性のある軟部組織(特に筋)が圧迫されて運動が止まる最終域感(柔軟な衝突感)※正常な肘関節や膝関節の屈曲の際にみられる
○軟部組織伸張性
・少し弾力のある硬いバネ様の最終域感
・正常な軟部組織伸張感では,最終域に近づくにつれて緊張感が強まるような感覚がある.更に関節包性と筋性に分類することもできる
※関節包性は関節包や靭帯の短縮や癒着が原因
・急に硬くバネ様の感覚がある
※筋性は可動域の中期に抵抗感が始まり,可動域最終域に達するまでそれが増加するような感じがする
○筋スパズム性
・他動運動中に突然運動が遮られるような急な硬い最終域感であり,痛みを伴うことが多い
・正常関節にはない
・検者が運動を速く行うほど,筋スパズムを生じる割合が高くなることが多い
○無抵抗性(empty)
・他動運動中に痛みや恐怖心のため突然患者の訴えにより他動運動ができなくなることにより生じる
・構造的な抵抗感はなく,何も感じない最終域感
・正常関節にはない
・術直後の関節や痛みの強い関節によくみられる
まとめ
今回は関節可動域制限についてまとめてみました.
様々な文献から報告されている通り,関節可動域制限の最大の原因は関節の不動です.
藤本によると,身体を動かさない事で関節の構成成分であるコラーゲンが器質的に変化するという報告があります.
つまり,身体を動かさない事が一番身体を硬くしてしまうという事です.
まとめると,身体を柔らかくしたいのならば動かす事
これに尽きます!!
実際の治療に関しては近日投稿していきたいと思います.
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