筋収縮由来の関節可動域制限とは

前回の記事では,関節可動域制限の概要についてお話をさせていただきました.

今回は「筋肉と関節可動域制限の関連性について」書いていきたいと思います.

筋収縮と骨格筋の伸張性の低下と関節可動域制限

脳血管障害などによる神経系の問題から痙縮が生じることで,関節可動域制限(拘縮)が起きると前の記事で話をしました.

発生メカニズムとしては

脳血管障害発症(ブルンストロームステージIIorIII)⇨筋収縮(痙縮)⇨関節の不動⇨関節周囲の軟部組織の器質的変化又は二次的な骨格筋の器質的変化⇨拘縮https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/38/4/38_4_259/_article/-char/ja/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8931594

生理学的変化としては

痙縮による筋線維内のATPの枯渇⇨クロスブリッジを形成したまま収縮機構の停止⇨筋線維の短縮位保持⇨硬直(死後直後,末梢循環障害)⇨筋弛緩の阻害⇨関節可動域制限

不動による筋細胞膜の問題

筋肉と関節可動域との関連性では筋細胞膜も関係してきます.

一番の原因は骨格筋の不動

つまり,関節を動かしていないことが原因によるものです.

流れとしては

長期間のギプス固定⇨骨格筋の長さが一定で制限される⇨神経からの入力情報に応じた収縮活動の困難筋収縮しろと過剰な命令が発令される

生理学的変化としては

長期間のギプス固定などによる関節の不動が生じることから,筋細胞膜側にあるアセチルコリン受容体の密度増加構造変化及び神経終末の構造変化が生じる.

加えて,横行小管や筋小胞体の構造変化も生じることから,関節可動域制限が生じているのではないかと報告されている.

不動による筋小胞体機能の問題

不動後の骨格筋では,筋小胞体にカルシウムイオンを蓄える能力の低下(カルシウムポンプの機能低下)⇨筋細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇⇨筋小胞体の機能不全

不動が2週間経つと,過収縮を呈した筋線維(壊死の初期段階)が見られ,筋小胞体の変性が生じるという報告があります※https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3352658

加えて,不動による筋細胞内のカルシウムイオン濃度上昇⇨カルシウム依存性のタンパク質分解酵素の刺激(カルシウムイオン濃度をさげるため)⇨筋細胞膜やZ帯の破壊が生じる.

まとめると,関節の不動による筋線維壊死が生じる事で収縮・弛緩がスムーズに行えなくなり,拘縮が生じる.

不動による筋紡錘の問題

不動により安静時における求心性神経活動の自然発火頻度が上昇し,ヒラメ筋を伸張した際の求心性活動が顕著に見られたという報告があります※https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptf/7/2/7_3/_article/-char/ja

生理学的変化としては,筋紡錘の形態変化,感受性増大,骨格筋の筋長短縮および筋膜の変化が生じています.

下腿三頭筋を弛緩位で3週間不動(背屈位)⇨核袋線維,核鎖線維の萎縮⇨不動によるコラーゲン増生(筋紡錘の被膜を構成するコラーゲン),被膜の厚さが2倍になる⇨紡錘腔の縮小(錘内筋の短縮)という報告もあります※https://link.springer.com/article/10.1007/BF00686385

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参考文献

沖田 実:関節可動域制限-病態の理解と治療の考え方,三輪書店,2013

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