今回は,筋発達について投稿していきたいと思います.
ウェイトトレーニングを行う事によって筋肉が肥大し,筋力も向上します.
しかし,なぜウェイトトレーニングを行うと筋肉が発達するのでしょうか.
筋発達の鍵はmTORC1の活性化
結論から先に言うと
ウェイトトレーニングを行う事でmTORC1を活性化し,ミオスタチンを減らすことによって筋肉を増やすからです.
ウェイトトレーニングによって筋肉が増えるということは,筋タンパクの合成が起こっているということです.
まず,ウェイトトレーニングによってIGF-1(インスリン様成長因子I)というホルモン様物質が増加します(MGFの増加).
これがIGF-1の受容体に結合すると,IRS1というタンパク質がチロシンリン酸化し,活性化します.
次に,IRS1が活性化すると,PI3Kという酵素を活性化します.
そして,PI3Kはaktという酵素を活性化し,aktはTSC2というタンパク質の働きを阻害し,RaptorからPRAS40を解離させます※TSC2やPRAS40はmTORC1の阻害因子.
その結果,akt活性化によりmTORC1が活性化します※mTORはDNAの転写・翻訳といった細胞内外の環境情報を統合し,細胞の成長を調節するシグナル伝達経路です.
最終的には,mTORが活性化することにより,その下流にあるタンパク合成酵素(p70s6kや4E-BP1)のリン酸化が起こり,タンパク合成が始まります.
ちなみに,mTORが活性化していると,筋肉を分解してエネルギーを取り出そうとする「オートファジー」が抑制されます※オートファジーとはタンパク質を選択的に分解する回路のことを指します.
また,インスリンやテストステロンによってもPI3Kは活性化し,これらのホルモンもmTORC1を活性化させます.
ミオスタチンとは
人の体内には,タンパク質を重要な場所に使い,重要性の低いところ(筋肉)には配分しないようにする遺伝子があります.その働きを担った遺伝子が,「ミオスタチン」です.
つまり,ミオスタチンは筋肉を減らす遺伝子なのです.
ミオスタチンが増えると,mTORC1が抑制されます.そして,筋タンパク合成が滞ります.
また,ミオスタチンが増えると,SMAD2やSMAD3という遺伝子も活性化し,それがAtrogin1やMuRF1などの遺伝子を活性化します.
これにより,タンパク質の分解が亢進してしまいます.
しかし,ウェイトトレーニングの刺激はミオスタチンを減らすことがわかっています.
つまりウェイトトレーニングは「筋肉を減らすミオスタチンを減らす」ことからも,筋肉を増やすことができるのです.
さらにミオスタチンの下流にあるAtrogin1やMuRF1もトレーニングによって抑制することができるようです.
よってウェイトトレーニングが筋肉を発達させる結論は
ウェイトトレーニングを行う事でmTORC1を活性化し,ミオスタチンを減らすことによって筋肉を増やすからです.
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参考文献
Chronic Exercise Training Down-Regulates TNF-α and Atrogin-1/ MAFbx in Mouse Gastrocnemius Muscle Atrophy Induced by Hindlimb Unloading Acta Histochem Cytochem. 2012 Dec 26; 45( 6): 343–349.
Exercise training attenuates MuRF-1 expression in the skeletal muscle of patients with chronic heart failure independent of age: the randomized Leipzig Exercise Intervention in Chronic Heart Failure and Aging catabolism study. Circulation. 2012 Jun 5; 125( 22): 2716-27. doi: 10. 1161/ CIRCULATIONAHA. 111. 047381. Epub 2012 May 7.
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