今や,女性のヒップアップやアスリートのパフォーマンスアップに大臀筋の強化が重要視されています.
フィットネスジムでも,大臀筋の強化にヒップスラストを用いる人も多くなってきている気がします.
今回は,ヒップスラスト(大臀筋の強化)のフォームについて考察していきたいと思います.
ヒップスラストはスタートポジションが大切
ヒップスラスト(足関節背屈・膝関節伸展・股関節伸展)の目的は大臀筋の強化です.
ヒップスラストにおいて,スタートポジションにおける膝関節が屈曲位になるほど,足部からの床反力による膝関節屈曲トルクが増大するため,対抗する膝関節伸展トルクが増大する(床反力作用線から膝関節までのモーメントアームが長くなるため)=大腿四頭筋の動員数増加
※足部からの鉛直上向き成分の増大(水平成分の減少).又,鉛直上向き成分が増大するということは,重い負荷を扱いやすくなります(漸進性過負荷の原則).
反対に,スタートポジションにおける膝関節が伸展位になるほど,足部からの床反力による膝関節屈曲トルクが減少するため,対抗する膝関節伸展トルクが減少する(床反力作用線から膝関節までのモーメントアームが短くなるため)=大腿四頭筋の動員数減少
※足部からの鉛直上向き成分の減少(水平成分の増大).又,鉛直上向き成分が減少するということは,重い負荷を扱いづらくなります(漸進性過負荷の原則の不適用).

じゃあ膝はどの角度がいいの?
答えは90°〜100°です.
理由は,漸進性過負荷の原則と大臀筋の筋力発揮関節角度によるものです.
まずは,漸進性過負荷の原則ですが,筋力を効率よく高めるために負荷を徐々に重くしていくことはとても重要です.
ヒップスラストにおけるスタートポジションの膝が伸展し過ぎると,足部からの床半力(鉛直上向き成分)が減少しているため,重い負荷を扱いづらくなります.(漸進性過負荷の原則の不適用)
反対に,膝が屈曲し過ぎると,足部からの床反力(鉛直上向き成分)の増大により重い負荷を扱いやすくなりますが,膝関節屈曲トルクに対抗した膝関節伸展トルクが増大するため,大腿四頭筋が多く動員してしまいます.
次に,大臀筋の筋力発揮関節角度ですが,大臀筋の筋力を大きな可動範囲で動員することはとても重要です.(大臀筋の筋力発揮関節角度の増大)
ヒップスラストにおけるスタートポジションの膝が伸展し過ぎると,足部からの床反力による鉛直上向き成分の減少により,お尻を持ち上げる距離が短くなります.(大臀筋の筋力発揮関節角度の低下)
反対に,膝が屈曲し過ぎると,足部からの床反力による鉛直上向き成分の増大により,お尻を持ち上げる距離が長くなります.(大臀筋の筋力発揮関節角度の増大)
しかし,膝関節伸展の可動範囲も広がるため,大腿四頭筋が多く動員してしまいます.
上記の漸進性過負荷の原則と大臀筋の筋力発揮関節角度の理由から,ヒップスラストにおけるスタートポジションの膝の屈曲角度は90°〜100°がオススメです.

※今後,この考え方は変わるかもしれません.
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